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よのなかは。

映画・本の感想。観て/読んで心打たれた作品を紹介しています。

"Tom's Midnight Garden(トムは真夜中の庭で)" 感想

概要____________________________________

著者:Phlippa Pearce
1958年


英国の児童書です。
原書で読みました。英語は易しい方だと思います。
庭が舞台のため草木関連の単語が多くて始めは戸惑いましたが、繰り返し登場するのでその辺りは慣れました。長さは200ページ強。謎が気になるので読み進めるのが苦にならない作品です。
ちなみに、岩波少年文庫から日訳が出ています。途中で行き詰まっても安心!





あらすじ_________________________________

邦題『トムは真夜中の庭で』が内容にぴったりはまっています。
トムは真夜中の庭で...何をするんでしょう?何が起こるんでしょう?気になりますね!

ネタバレなしであらすじを書きます。


夏休み。トム少年が、弟がはしかに罹ったために親戚の家へ預けられる場面から物語は始まります。

弟と自宅の庭で冒険するはずが、連れてこられた家には庭もなければ遊ぶ相手もいません。気落ちするトムでしたが、その晩、大時計が13回も刻を打つのを聴きます。不審に思って大時計がある外に出ると、その先には、夜にだけ現れる素晴らしい庭がありました。

そして毎晩庭に繰り出すうちに、トムはある少女と友達になり、楽しい時を過ごします。庭では不思議なことが次々と起こるのでした...。





感想____________________________________

*ここからはネタバレがあります。(結末には触れません)



私が一番惹かれるのはどこか?
それはこの作品の重要なテーマの一つ、
「時を超える」ところ!

ここです。
...と言っても唐突なので詳しく説明すると、


庭で出会う少女は、実は自分より少し前の時代の人であるようだとトムは気づきます。

しかし少女は幽霊ではなく、勿論トムの想像でもない。それどころか少女以外の庭の世界の人には、トムの姿が見えていないようなのです。そのため少女はトムの方こそ幽霊だと言います。

しかし勿論トムは実際に庭に行っています。
この、夜現れる庭は、なぜ昼間には存在しないのか?少女(たち)と自分は、なぜ庭で同じ時代を過ごすことが可能なのか?


こんな具合に、最初から時空の謎がある、このあたりに惹かれるんです。さらに掘り下げていきます。


話が進むにつれて少女の年齢の謎などが加わり、ますます疑問は膨らみます。

トムは庭や時計、さらには時について調べてみたり実験してみたりと手を打ちますが、謎は深まるばかりです。


少女に対して、トムは徐々に違和感を抱きます。

それはトムと少女とでは時間の流れ方に違いがある故の、避けられない運命でした...。
時の流れが2人を遠ざける気配を感じたトムは、残された時間で
(トムはいつまでも親戚の家にいられるわけではありませんから、庭に行ける回数に限りがあります)
少女と庭と時計と時間の謎を解き、少女と過ごす時間を守ることができるのか?

その間にも(2人が離れていく予感の間にも)トムと少女の友情は確かにあって...

時を超えた2人の友情、そして庭の運命は⁉︎


と、何だかあらすじのように書いてしまいましたが要するに、緊迫感と友情の絶妙なコラボレーションにドラマを感じて好きです、という話でした。



児童書ですが、大人も楽しめます。


私は、大人気なく本気で推理しながら読みました。

おすすめです。