よのなかは。

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これは"SHERLOCK S3.5"…!『忌まわしき花嫁』感想と考察

やっと観ました。『忌まわしき花嫁』=英BBC制作の現代版シャーロックホームズ("SHERLOCK")をベースに、舞台をヴィクトリア朝(19世紀末頃)に移して制作された劇場版、です。


年齢一桁の頃にはシャーロックホームズ原作を全編読破し、年齢二桁に入って手を出した映像ではグラナダ版は勿論、アメリカ版(ラスボーン版)もハリウッド版もBBC版(SHERLOCK)もアレもソレも全部(あっソ連版はまだでした)好きで何周もし、危険を感じて回避していたパスティーシュにも遂に5年前手を出し始めてしまった私ですが、


正直、今回の劇場版は敬遠していました……(理由は後述)
観た結果、SHERLOCKを今後も観るのなら絶対に観る必要がある作品だと強く感じたので、


主に「観ようかな、でもなぁ〜、」という感じで迷っている方の背中を押すために書きます。


『忌まわしき花嫁』を、Q&A形式(全6問)で紹介していきます。参考にして下さい。あなたの求めている情報があれば良いのですが。(知りたいことが載っていない場合はコメント欄からお気軽にご質問下さい。)



Q1.SHERLOCKは好きだけど、突然のヴィクトリア朝(19世紀頃)という設定に戸惑っています。ドラマは現代版だけど、今作とドラマ本編は関連しているのでしょうか?


A.1はい。ここですよね。
私が劇場に観に行かなかったのは、この突然のヴィクトリア朝(原作と同じ時代)設定についていけなかったからです。

・映画なんていいから、ドラマ本編の続きを早く作ってほしい。
・舞台はヴィクトリア朝にしました?聖典か!現代版の設定どこ行ったよ!ヴィクトリア朝なら原作頭に入ってるし、グラナダ版もあるし、あなた(現代版)にはあなたの良さ(現代をかけめぐる以下略)があるじゃないか!
・ファンほったらかして何遊んでるの!シャーロックっていえば何でも食いつくと思って!(食いつくけど!)忙しくてスケジュール合わないから制作がローペースなのは理解してるけど、わざわざスケジュール合わせて作るのが映画!?それならドラマ作りません?


と、劇場公開中はスルーしました。(観たかったけど...観たら負けな気がして…...)



でも結局観てわかったんですけど、ドラマ本編との関連?ありました。大ありです。
これ、2行で説明できるんですが激しいネタバレになるので、白字で書きますね。↓
S3クライマックス直後、21世紀(現代)のシャーロックが、あの飛行機内で麻薬の影響でトリップして19世紀で自分とワトスンが蘇った死者(=忌まわしき花嫁)による連続殺人事件を捜査しているという妄想をしてる…っていう。


次項以降(韻踏んだ...)で詳しく解説します。




Q2.(S3未視聴の方は読まないで下さい)ドラマ"SHERLOCK"は観たんだけど、『忌まわしき花嫁』は観た方がいい?


A2.はい、観た方が良いです。


理由: S3.5 だから。S3まで視聴済みで今後続き(S4)も観ようと考えている方、必見です。「ヴィクトリア朝(19世紀)設定」と銘打ってはいるものの、所々に現代の、それもS3クライマックス直後(=S3の続き!)をぶっ込んでくるんです!何これ!S4待ち遠しすぎて遂に幻覚を観たのかと思った!現実でよかった!





Q3.ドラマ"SHERLOCK"はまだ観ていなくて…先に『忌まわしき花嫁』観ても楽しめる?


A3.無理です。(笑)先に"SHERLOCK"本編を観ましょう。


1話たったの約90分で、1シリーズに3話ずつしかなくて、現在シリーズ3(S3)までしか出ていません。つまり全部観てもハリーポッターより断然短いということです。楽勝です。まだ観てないあなたが羨ましいです。本編へのオマージュもあるので、より楽しむためにぜひ観て下さい。"SHERLOCK"本編はホームズオタクが原作への愛とオマージュと悪ふざけで作ったものなので、原作も読めばなお楽しめるとお約束します。




Q4.あらすじは?これから観るのでネタバレなしで教えて!


A4.はい。そもそもコナン・ドイルの手による原作、シャーロック・ホームズシリーズは、ほぼ全作19世紀(ヴィクトリア朝)が舞台となっています。書かれた時期がその辺りなので、まあ当時の人からすればリアルタイムに自分たちと同じ時代を生きるホームズとワトスンの物語を追っていた訳です。(羨ましい!)


今回の映画はまさにこの19世紀をメイン舞台とした作品。



19世紀、公衆の面前でピストル自殺した花嫁(=タイトル『忌まわしき花嫁』)が蘇って夫をはじめとして男たちを銃殺していく…という奇怪な事件が発生、その真相をホームズとワトスンが追う…というのがメイン・ストーリーとなっています。事件の真相は伏せますが、当時の社会問題に切り込んだものになっていて、「あぁ…」と無力感に襲われること請け合いです。決して悪い意味ではなく。



しかしこの事件捜査のシーンは少な目です。19世紀とか事件とかはあくまで映画を作るための口実で、結局1番見せたいのはシャーロックのキャラクターなんだな、と感じました。「事件を追っていた初期が好きだった、最近の"SHERLOCK"にはついて行けない」という方にはおすすめできません。(事件が好きなあなたには替わりにアメリカ(ラスボーン)版ホームズをお勧めします!笑)



「事件を追うよりキャラクターを掘り下げているここ最近の"SHERLOCK"が(も)好きだ!」という方は、『忌まわしき花嫁』、悶絶すると思います。おすすめです。





(この先少しネタバレ有り)
メインストーリーはあくまで19世紀での事件捜査です。ですが、それに加えて21世紀(現代版)S3の続きのシーンが入ってくるんです、時々。


具体的には、S3クライマックス(シャーロックを載せた飛行機)シーンのその後が19世紀の合間合間に入ります。飛行機の中で当たり前のようにシャーロックやジョンやマイクロフトたちが話したりアレしたりするんですよ!不意打ちにもほどがある!ゆ、油断させやがって!映画にS3の続き入るなんて聞いてない!S3の続きだけどS4の前だし……あっ、これは S3.5だったのか!
みたいな。事前情報が「映画はヴィクトリア朝設定らしい」、これだけだったので、なんかサプライズプレゼント顔面にぶつけられた印象でした。嬉しいけど処理しきれない!どうしよう、でもとりあえずありがとう!っていう。





A4-1.事件(と推理)です!


と言いたいところですが、そっちは正直まあまあです。


なんだかんだ言って、舞台を19世紀にした点が逆に新鮮で面白かったです。ここはみどころの一つですね。


SHERLOCKのキャラクターたちが総出演していました。現代版の登場人物の19世紀ファッションが見られるというのも魅力の一つです。衝撃的だったのはマイクロフト。体型が原作通りすぎて、彼の方がよっぽど事件です。夢に出そうな感じです。あとはモリーも新鮮でした。彼女は今回結構キーパーソンです。ハドスン夫人に関しては、違和感がなさすぎることに違和感を覚えました。普通にいそうっていう。



これら登場人物たちを巻き込みつつ、事件を解決していくわけです。移動は馬車だったり、服装もヴィクトリア朝式だったりするけれど、キャラクターの性格は現代版と変わらないです。時代が原作と同じだから、人物設定も原作に寄せると予想していたのですが、全くそんなことはありませんでした。シャーロックの社会不適合者感、健在です。



しかし話はそれだけではないのです。


まず言っておきたいのが、19世紀(ヴィクトリア朝=原作の時代)と21世紀(現代=BBC版,SHERLOCKの時代)、両方出てきます。
ですから、19世紀と21世紀がリンクしています。


具体的には、19世紀で起こる「忌まわしき花嫁の自殺」と、21世紀で起こった「ジム・モリアーティの屋上での自殺」の手段が一緒です。


ジムの自殺はS2E3で行われ、その後のS3でもその詳細については触れられていませんでした。


シャーロック・ホームズ史上最大の敵の死が、ほぼスルーされてS3で次の敵、マグヌセンとの戦いにシフトしてしまったので、戸惑った方もいるのではないでしょうか。(私だけ!?)


今回の映画では、ジムの自殺の謎を解こうとシャーロックが知恵を絞ります。(マインドパレスも使います!)


ジムの死のモヤモヤを晴らす意味でも、是非一度観ることをおすすめします。





個人的みどころと感想と妄想


ここからは個人的なみどころについてです。つまり、本当の見どころについてです。
ネタバレ有りです。



A4-2.一番のみどころは?

⑴ジムでしょ。


個人的に今回一番のみどころは、ジムとシャーロックの(頭の中での)やりとりです。とてもスリリングで奇声を上げるところでした。一人で見てよかった……

まあま尺も長くて、見応えがありますよ。



ドラマ本編のS3を観て、新たな敵マグヌセンの魅力のなさにがっかりしたと同時に、ジムはとても魅力的だったなあと思ったのですが、その理由を考えてみました。


まず、マグヌセンはとにかく可愛くない、人間として。
賢さと気持ち悪さと邪悪さは認めますけど、他は?


何というか、人間味を感じないんですよね。賢くて邪悪で、気持ち悪くて、でも退屈していて世の中にスリルと何かをまだ期待してフラフラして(シャーロックたちにちょっかいを出して)いる、ジムの抱える矛盾(人間味と言ってもいい)は、彼をただの強敵に終わらないチャーミングな存在にしていますよね。一方マグヌセンは、ただの強敵。何かこう、生き物感がなくて、入れ込めませんでした。

改めてジムの人間臭さに触れたい方は、是非映画を見ましょう。(笑)





⑵シャーロック

もうひとつのみどころは、シャーロックです。
主役だろ、今さらか!と、言わないでください。


シャーロックドラマはシーズン追うごとに 事件<<<人物シャーロック を描く傾向が強まっています。


おかげで事件と只管推理を求めるファン離れを起こしつつある一方、キャラクターたちに心奪われたファンを弄び、傷つけ、時には歓喜させる……という悪魔のようなドラマになりつつあります。(あくまで私見です)


何だかんだ言って、シャーロックの周りには人がいっぱいいます。愛されてますね、この野郎。

薬やったらぶん殴ってくれる人もいるし、お兄ちゃんにはウザいくらい愛されてるし。
シャーロックが、シーズン追うごとに抑えていた人間味を爆発させていくので、
ファンも爆発しながらそれを見守っているわけですが、(私見です)


でもジムは?

ジムの周りには誰もいない!


同じ天才で愛らしいクソガキなのに、この差は何だろう?
正義の側にいるかどうかとか、色々理由はあると思いますが……


時間ができたらじっくり考えたいですね。






Q5. "SHERLOCK"は、今後どうなる?


A.5 S3終盤でマイクロフトが言及した「もう一人の兄弟」=シャーロックのもう一つの人格
なのではないかと想像しています。
「もう一人の兄弟」が次(S4)のメインテーマの一つになるのでしょう。で、「もう一人の兄弟」とのエピソードが、シャーロックが残念な天才(ごめんなさい)に育ってしまった主因なのかなー、と。


S3終了時点では、もう一つの人格か、赤髭(あかひげ)という名の昔飼っていた仲良しの犬、この二つが「もう一人の兄弟」候補だと考えていました。


その後、今作(忌まわしき花嫁)を観て、
シャーロックは多重人格なのではないか?
少なくとも多重人格だったのではないか?
という妄想が止まりません。



マイクロフトが今回「一週間お前と彼(もう一人の兄弟のこと?)を一緒に監禁した(独房に入れた?留置場に入れた?だったかも。とにかく両者を同じ空間に閉じ込めたってことです)のは間違いだった。すまなかった。」というようなことをシャーロックに対して言っている。これが私の妄想(シャーロック=多重人格)を加速させる決定打になりました。




最近は、続き(S4)が待ち遠しい…けど観るのが怖い…待つのも辛い…...でも楽しい…...からずっと待ってる……いや、もういっそ終わりにしてくれ!

とまあこんな具合です。何なんでしょうか、この気持ちは。恋かな。いや、愛か。





Q6.最後に一言!

A6.最近は早く"SHERLOCK"終わらないかな、と思っている自分がいます。好きすぎて辛くなってきました。こんなにやきもきしてネットに長々と感想、果ては妄想こじらせた予想まで書いて本当に恥ずかしい。自分でQ書いてA書くって…...正気の沙汰とは思えない!こんなことってなかった。自我が崩壊しそう!


何はともあれ、少しでもどなたかの参考になることを祈ります。


どうもありがとうございました。